令和9年開業予定で計画が進められている「リニア中央新幹線 東京・品川〜名古屋区間」の整備に大きな遅れが生じています。
今回はその問題について記させて頂きます。
リニア中央新幹線整備計画
JR東海が、東京・品川〜名古屋区間のリニア中央新幹線は、令和9年(2027年)の開業を目指し、整備計画が進められています。
ルートは、東京・品川〜神奈川県駅(相模原)〜山梨県駅(甲府)〜静岡県を通り〜長野県駅(飯田)〜岐阜県駅(中津川)〜名古屋の全長285.6キロです。
整備の遅れ
昨年6月の工事着工を計画していた静岡工区(8.9キロ)で、地元自治体との協議が整わず、現在もなお工事には着手できておらず、その計画は既に1年以上遅れている実態です。
静岡工区の問題点
静岡県工区は南アルプスの麓を通るルートの計画がされていますが、地元静岡県として、南アルプスから大井川へ流れている山水が、トンネルの開通によって湧水が流出して大井川の流量が減り、環境や地域経済活動への影響が大きいと指摘して整備計画の反対を掲げています。
静岡県知事は、「一滴の水が黄金に値する。命の水を守らなければならない。」と主張しを続け、6月に行われた知事選においても大勝しており、JR東海との溝は深まる一方の状態です。
一方、JR東海は、南アルプスからの湧水の流出対策として、導水路の設置による専用トンネルを用いて大井川に戻す計画を打ち出しており、「ルートを変更するなど、計画を振り出しに戻すことはあり得ない。」と主張。
双方の協議は大きな暗礁に乗り上げている実態です。
静岡県だけの問題?
➀全長285.6キロに対して、静岡工区の8.9キロの問題で全体整備計画が遅れていくことが、日本の中枢幹線の整備によるインフラ整備による、日本の経済・流通の発展に対する鈍化であると思います。
②東京〜名古屋区間の整備の停滞によって、名古屋以西の京都〜大阪駅までの区間整備にも影響が生じます。
③この事業は、JR東海が開業に向けての工事を進めようとしていますが、元来この事業は国策であり、関係する自治体は国策計画に反対するのではなく、積極的な国土開発に協力していくべきだと思います。
早期なる妥協点を見出す協議と工事の着工を期待します。